第9章 海賊王の誓い
「は?」
スレイジはキョトンとした様子で目を丸くした。
「お前、何言ってんだよ。女のお前にこれが持てるわけねェだろ?」
ーー男であるスレイジでも重いと感じるのだ。ましてや、女であるミーウが持てるわけがない。
スレイジはそう考えていた。
「やってみないとわかんないでしょ?」
ミーウは坂を下って、スレイジの目の前まで来た。
「ほら! 1つだけでいいから持たせてよ」
ミーウは両手を前に出した。
「無理だ。お前ができないことなんて、どう考えてもわかり切ってるだろ?」
ミーウは何回もスレイジに持たせてもらえるように頼んだが、スレイジは首を横に振るだけだ。
「ケチ」
ミーウは少しだけ口を尖らせた。
「ケチだと! そんなこと言う奴には絶対に持たせてやらねェからな!」
「どの道持たせてくれないなら変わらないじゃんか」
ミーウはじっとスレイジを見つめた。
しばらくして、観念したのかスレイジはため息をついた。
「……仕方ねェな。1つだけだぞ?」
ミーウはそれを聞いて喜んだ。
「やった! ありがとう、スレイジ!」
スレイジはミーウのそんな様子を見て少しだけ微笑んで、ミーウに桶を渡した。
「う……」
持った瞬間、ミーウは少しよろめいた。