第9章 海賊王の誓い
その頃、スレイジは家の近くの川で水を汲んでいた。ーーこの島は川の水がとても綺麗なので、普通に汲んで生活用水として利用している。
2つの桶に水をいっぱい入れてから、それを長い棒に括り付けてスレイジは立ち上がった。
「ふー……」
軽く息を吐き出してから、それを持ってスレイジは歩き始めた。
川からスレイジの家までの道は急な坂道になっているので、毎朝大変な思いをして運んでいた。ーーだが、セメイにこの仕事をさせるわけにはいかない。彼は若そうに見えるが年齢は70を軽く超えていた。
(まァ、これも一種のトレーニングだよな)
スレイジはそう考えて頑張っていた。
「あれ? スレイジ?」
少し坂道を登ったところで、スレイジは上から声をかけられた。
(この声は……)
スレイジが上を向くと、坂道の1番上にミーウが立っていた。
「こんな朝早くから何してるの?」
ミーウは太陽のような微笑みで、スレイジに話しかけた。
「見ればわかるだろ? 水汲みだよ」
スレイジは少し不機嫌な様子で言った。
(何で朝からこいつに会わねェといけねェんだよ……)
そう心では思いながらも、少しだけドキドキしていて、なおかつ、嬉しがっている自分がいることにスレイジは気付いていた。
「水汲みか……。じゃあ、わたしも手伝う!」
ーーミーウは昨日の夜、スレイジが怒っていたことを気にしていた。そのため、今日スレイジに会ったら何か喜ぶようなことをしようと思っていた。ーー決してご機嫌取りという意味ではなく、昨日のお礼も含めてやろうとしていた。