第8章 幸せのかたち
満月が明るく照らす夜。島ではフクロウがホーホーと鳴いているのが聞こえてくる。
セメイはミーウたちが寝ている部屋の扉を少し開けた。
ミーウたちは長旅……と言っても、1週間なのだが……の疲れが出ているようで熟睡をしている。
「……」
それを確認したセメイは自分の部屋から廊下に出て行った。長い廊下を歩いて行き、ある部屋の前で止まった。
「スレイジ……」
セメイは扉越しにスレイジに声を掛けた。
「……入るぞ」
セメイはドアを開けて、部屋のベッドの上に座って、窓から満月を見上げているスレイジの横にゆっくりと座った。
「スレイジ……」
セメイは静かにスレイジの名前を呼んだ。
スレイジは満月を見上げているままで、セメイを振り向こうとしない。
「……お前はまだ……海賊を恨んでいるのか?」
セメイは穏やかな口調で聞いた。
「当たり前です」
スレイジは冷たい声で返した。
「スレイジ……恨みとは恐ろしいものだ。それは満たされることがない……。忘れることはできないと思うが……和らげることはできると思う。どうじゃ? スレイジ」
「おじい、お言葉ですが……」
スレイジはようやくセメイを真っ直ぐ見つめた。
「おれは……海賊を2度と許さないと誓いました。あの日からずっと……この思いは決して変わりません」