第8章 幸せのかたち
「おじい! 一体何てことをおっしゃるのですか! 海賊がこの島に住むなんてこと……許されていいと思っているのですか!」
スレイジは椅子から立ち上がり、噛み付くような勢いでセメイに言った。ーースレイジの周りの空気はビリビリと雷の音を立てている。
「スレイジ……」
セメイはそんな様子のスレイジとは打って変わって、ひどく落ち着いた様子でスレイジを制した。
「わしは本気で言っておるのじゃ。どうじゃ? ミーウ。お前にとってもこの島が気に入ったと言っておるのなら、悪い話ではないだろう?」
ミーウはそう聞かれてから、少しの間、俯いて黙っていた。
(確かに……この島はとてもいい島だ。だけど……)
ミーウはやがて顔を上げて、セメイを真っ直ぐな瞳で見て答えた。
「わたしは……ある人と交わした約束を守るために海に出ました」
ミーウは無意識にビブルカードのネックレスを握り締めた。
「その約束を決して違えたくはありません。だから、わたしは……わたしは〈偉大なる航路〉を渡って、〈ひとつなぎの大秘宝〉を手に入れて……海賊王になってみせます」
静かに、だけどはっきりとした口調で、ミーウはセメイに堂々と宣言した。