第8章 幸せのかたち
「少し筋トレが趣味だからという理由では通らないくらい、鍛えられているだろう?」
「……」
スレイジはミシュラを見つめた。
「それと、おれたちがこの島に来た時の反応。お前も村の人々もみんな、おれたちを警戒してた。尋常じゃないくらいにな」
ミシュラはふーと息を吐いた。
「陣形まで組み立ててあるくらいだ」
ミシュラはじーとスレイジを見た。
「いろいろ見ていれば、この島に昔、何があったかなんてすぐにわかる」
スレイジは少し俯いてから、ミシュラに向かって少しだけ笑った。
「……狼のくせになかなか洞察力が長けているな。それに……よくそこまで考えられるもんだ」
スレイジは海を見た。
ミーウもスレイジにつられて海を見た。
「……確かに……この島には数年前に海賊が来た」
スレイジは海を見たまま口を動かしている。
「だが、その時のことは詳しく話せない」
スレイジは海から視線を外さない。
「いくらお前たちが知りたいと言っても……おれは話すつもりは全くない」
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