第8章 幸せのかたち
その後、ミーウたちは市場で必要な物を買って、一旦船に戻った。
船に戻ってから、アユナは冷蔵庫の中に買った物を詰め込んでいた。
その間、ミーウとミシュラはスレイジと砂浜で話していた。
「スレイジ」
ミシュラがスレイジに話しかけた。
「何だ?」
「ちょっと聞きたいことがあるんだが」
ミシュラは少し目を細めて、スレイジを見上げた。
「……いいぞ。話せ」
ミシュラは少しだけ瞬きをして、口を開いた。
「この島には……海賊が来たことがあるのか?」
その瞬間、スレイジが静かに怒りを爆発させた。
「……何が言いたいんだ……。狼」
「おれはただ、聞いただけだが? それに……」
ミシュラは目を細めた。
「お前がいいって言ったんだろう?」
スレイジは舌打ちをした。ーー図星だったからだ。
「……何でそんなことを聞くんだ?」
スレイジはミシュラを睨んだ。
「少し気になったんだ」
ミシュラはスレイジを真っ直ぐに見つめた。
「この島はミーウが言うように確かに平和だ。それなのに……男たちはみんな鍛えていて強そうだった。実際、お前はミーウに敵わないとしても動きも剣の振りも早い。それに、その体」
「体?」
スレイジは自分の体を見た。ーー鍛えられているため、太くてたくましくなった腕と足。腹筋はもちろん割れている。ーースレイジはあまり身長が大きくないため、筋肉も程よいくらいにしかついていないが、それでも並の人間よりはたくましい体をしていた。