第8章 幸せのかたち
それを聞いた途端、ミーウはこれ以上にないほどの笑顔を見せた。
「ありがとう!」
ドキッ
その笑顔を見た瞬間、スレイジの心臓はこれまでにないほどに脈打った。
「……」
(……やっぱり……)
ーやっぱり、おれ……おかしい……。
スレイジは胸に手を当てた。心臓はまだドキドキとしている。
「……」
(……こんなん……惚れてるわけじゃねェのに……)
ーーミーウに出会ってから、人生の内で今までにないくらいにドキドキしている自分がいることをスレイジはわかっていた。
「……チッ」
(落ち着け)
ー相手は海賊なんだぞ。海賊なんか惚れたなんて……兄貴に何て言われるか……。
スレイジはミーウを海賊だと思って、やり過ごすしか方法が見つからなかった。ーーミーウに惚れないために……。
「スレイジ? 大丈夫?」
ミーウは考え込んでいたスレイジに突然話しかけた。
「あ、あ? 何だ?」
スレイジはぽかーんとして、ミーウを呆然と見ていた。
「もう、スレイジ、ちゃんと人の話とか聞いてる? わたしたち、もうとっくの前に準備できたよ?」
スレイジが考え事をしていた間に、アユナは市場に行く用意を終わらせて、ミーウの横にいた。
「そ、そうか。すまねェ。それじゃァ、行くか」
「うん!」
ミーウは笑顔で頷いた。