第8章 幸せのかたち
スレイジは心の中で自分に喝を入れてから、ふーと息を吐き出してミーウを見た。心臓はまたドキドキしている。
「で、えっと……何だ?」
スレイジはミーウの話を聞いていなかったため、もう1度話してもらおうとした。
「もう、さっきの話聞いてた? 島を案内する前に食材を買いたいの。いいかな?」
ミーウは首を傾げた。
スレイジはそれを見て、ドキッっと心臓を鳴らした。
(……ったく……)
スレイジは舌打ちをしたかったが、ミーウの前でそんなことをして勘違いをされて、ミーウの気分を悪くしたくなかったので我慢した。ーーミーウは海賊なのだ。機嫌が悪くなった時にこの島の人々に何をするかわからない。ーースレイジはこの島の人々を守ることを何よりも優先していた。
「あァ、いいぞ」
スレイジは顔を赤くしながら、ぶっきらぼうに答えた。
ミーウは喜んで、ひまわりの花のように笑った。
「ありがとう! スレイジ!」
「あ、あァ……」
スレイジは一層顔を赤くさせて頷いた。
「……」
(……何であんなに可愛いんだよ……)
スレイジは心の中でミーウの可愛さを恨んでいた。
(……ったく……)
ー惚れそうになるじゃねェかよ……。
スレイジは少しだけ不機嫌そうにしながらもミーウに言った。
「早く準備しろ。市場に連れてくからな。金はちゃんと持てよ。ただ払いなんか絶対させねェからな」