第8章 幸せのかたち
スレイジはミーウとの手合わせに負けたため、仕方なくミーウたちに島を案内することにした。
(……ったく、何でおれがこんな目にあわねェといけねェんだ……)
スレイジは1人、心の中で祖父であるセメイを恨みながらも、セメイの命令は絶対なので逆らうわけにもいかず、素直に聞くことにした。
「スレイジ」
スレイジの後ろからミーウたちがついて来る。
スレイジは少し面倒くさそうにミーウを振り返った。
「何だ? 何かあったのか?」
「うん、えっとね……」
ミーウはスレイジが不機嫌なのを感じたのか、少しだけ戸惑いながら言った。
「その……先に市場に行って買い物がしたいな〜ってアユナがずっと言ってて……」
「……」
スレイジはミーウの話を聞いていた。聞いていたのだが、耳からその内容が通り過ぎてしまった。なぜなら……。
(……可愛い)
ー少し戸惑いながら自分に話しかけてきたミーウが可愛くて、その仕草や表情に見惚れてしまい、話の内容をちゃんと聞けなかったのだ。
「……スレイジ?」
ミーウは上の空でいるスレイジの顔を覗き込んだ。
ミーウの顔が目の前に現れた時、スレイジはハッとして我に返った。
「……」
(……本当に……何してんだ……おれは……)