第7章 初めての島
「ミシュラだ」
セメイは足元から聞こえてきた声に驚いて、ミシュラを見た。
「……狼が人の言葉を話すのか?」
そう言われて、ミシュラは少し罰が悪そうに言った。
「まあ……おれの一族はちょっと特別だ」
セメイは納得したように頷いた。
「……昔、聞いたことがあるぞ。確か……」
「すまないが、そのことはセメイ殿の心の中だけに留めておいて欲しい」
ミシュラはセメイの言葉を遮って言った。
「おれにもいろいろと事情があるからな」
セメイは数回瞬きをして、優しく微笑んでから首を縦に動かした。
「ところで……」
アユナはセメイを見た。
「カファイナと名乗るということは……スレイジのおじいさんなのですか?」
セメイは微笑んだ。
「ああ、そうだ」
セメイはスレイジを見た。
「スレイジは無愛想で口が悪いやつだが、この島の者たちを1番に考えている優しいやつだ。先程のような無礼な行動を許してもらえないか?」
「おじい!」
セメイがミーウたちに謝罪していると、スレイジが怒りながら歩いて近付いて来た。
「海賊なんかに謝るなんておかしいです! 何故そんなことを……」
「そんなのわしの勝手だろう」
スレイジの言葉をあっさり受け流し、セメイは笑った。
「それより、スレイジ」