第7章 初めての島
アユナは頷いて、ミーウに〈紅桜〉を渡してからスレイジの方を向いた。
「ミーウが勝ったから、この村で食材を買ってもいいわよね? えーと、スレイジ?」
アユナはスレイジに聞いた。
「あ、あァ」
(あれ?)
ー何で何も感じないんだ? ーーミーウの時は目が合うだけで、名前を呼ばれただけで、固まってしまい、心臓がうるさくなるのに……。
スレイジが考えていると、後ろから声が聞こえた。
「スレイジ」
スレイジは誰かに呼ばれて、後ろを振り返った。
「おじい……」
スレイジは後ろから歩いて来た老人を見るなり、片膝をついてしゃがんだ。村の人たちもそれにならう。
「おじい、すいません。おれがいるのにこの村に海賊を入れることになってしまって……」
老人はスレイジに歩み寄った。
「スレイジ、お前のせいではない。あまり自分を責めるな。それに……」
老人はミーウたちを見た。
「あの娘さんたちは悪い海賊ではない」
スイレジは老人を見た。
「おじい。何故そんなことが言えるのですか? ……ミーウたちの見た目で決め込むのは……」
「スレイジ」
老人はスレイジの言葉を遮った。
「もし、あの娘さんたちが悪い海賊なら……手合わせをしている時点でお前は死んでいる」