第7章 初めての島
「わかった。……これでいいか?」
スレイジは半分以上嫌々に言った。
「いいよ」
ミーウはにこりと笑った。
それを見た瞬間、スレイジはその場に崩れそうになるのを堪えた。それから、心臓の鼓動が速くなるのを必死で抑えた。
(……やっぱり……おかしい)
ーどうかしてる……。
スレイジは額を手で押さえた。
(……熱でもあんのか?)
スレイジのそんな様子に全然気が付いていないミーウはその後もスレイジに聞いた。
「食材はどこなの? えーと……名前……何て言うの?」
ミーウは困ったように笑った。
スレイジはそれを見てまた鼓動が早くなったため、舌打ちをしたい気持ちになったが堪えた。
「普通は自分から名乗るだろ?」
ミーウは瞬きをしてから頷いた。
「わたしはミーウ。キルリレ・ミーウよ。よろしくね」
「おれはカファイナ・スレイジ。それじゃあ、キルリレ……」
その瞬間、ミーウはスレイジの顔を両手で包んで自分の顔に向けさせた。
「……」
スレイジと周りの人々は固まった。
(こいつ……)
ー何をするつもりだ?
ミーウはスレイジに真剣な顔で言った。
「ミーウよ」
とっさに声の出ないスレイジに、ミーウは言い含めるようにして繰り返した。