第7章 初めての島
「は?」
スレイジは怪訝そうな顔をした。
「お前、刀はそれしか持ってねェんだろ?」
ミーウは少しだけ微笑んだ。
「まあ、少しの間だけ見ててよ。アユナ、お願い」
アユナは頷いて、ミーウのそばに行った。
ミーウはベルトごと〈紅桜〉をアユナに渡して、スレイジに向き直り、手のひらを下に向けた。
「氷刀(ひょうとう)」
ミーウがそう言った途端、手の下に氷の刀が出現した。ミーウはそれを持って構えた。
「……能力者か……」
ミーウは少し笑った。
「これでいい?」
スレイジは笑った。
「手合わせができるなら、何でもいい」
スレイジは刀をもう1度自分の前に構えた。
「アレス」
スレイジはアレスを振り返った。
「合図を頼む」
アレスは頷き、足元にあった少し大きめの石をしゃがんで拾った。
「これが地面に落ちたと同時に始めろ」
そう言って、アレスは石を投げた。
ミーウとスレイジはお互いを見つめる。
コツン
石が地面に落ちた瞬間、ミーウとスレイジは地を蹴り、刀を合わせた。
(……速い)
スレイジは感心した。
(最初の地面の蹴りの速さ、それに刀を振る速さ、海賊だとしても女でこんなに軽い身のこなしができるのか……)