第7章 初めての島
「できない……」
ミーウは俯いた。
「は?」
スレイジはムッとして眉毛を寄せた。
「どういうことだ?」
ミーウはスレイジを見た。
「この刀は抜けないの……」
スレイジはフンッと鼻で笑った。
「逃げるつもりか? 海賊」
ミーウは目を細めた。
「逃げるとかじゃないわ。海賊になる前に約束したの……この刀を絶対抜かないって」
ーミーウ、その刀を抜かないでね。
(お母様と約束したことをここで違えるわけにはいかない……)
「じゃァ、何故腰にその刀をしている? 何の意味があるんだ?」
ミーウは〈紅桜〉を見て口を開いた。
「形見なの」
ミーウは悲しそうに笑った。
ーとても大切だった人の形見……。
スレイジはその言葉を聞いて目を見開いた。
(形見?)
ーそうか……。こいつも……。
スレイジは一瞬だけ悲しげな顔をした。
「おれと同じか……」
「……え?」
(同じ……?)
ミーウは驚いた。
そのミーウ以上にスレイジは驚いた。ーーどうしてこんな言葉が出たのか。嘘ではない。自分と同じだ。だが、どうして海賊にその言葉を言ったのかわからない。
(……海賊に……同情するなんて……)
ーどうかしてる……。
スレイジは咳払いを1回してミーウを見た。
「じゃァ、別の刀を使え。誰か刀を……」
「刀ならあるわ」