第12章 ストーカー
土曜日の夜は犬のマルや猫のルルとララと共に、静に過ごしていたのだ。
そんな、静にすごしていた土曜日の夜だった。
私はひとりでテレビを観て愉しんでいた。
時計を見るともう11時を回っていたのだ。
もう、寝なくてはならないと思い、パジャマに着替えて冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出して、薬を喉の奥へと流していった。
そして、部屋の電気を消し豆球だけの灯りにして、ベッドへと潜り込んだ。
段々と、眠りの森に入って行こうとした時だ。
私の家のチャイムが鳴ったのだ。
時計を見ると12時を回っていた。
こんな時間に誰だろう。
そう思いながらも玄関に行き灯りをつけた。
「どちら様ですか?」
「俺だよ、タカシだよ…」
そうなのだ、タカシがまた私の家にやって来たのだ。
多分、居酒屋みゆきが閉店してから来たのだろうとは容易に想像できた。
私は、カウンセラーの鈴木先生の言葉を思い出していた。
「もう、タカシは家に上げたらダメよ…」
そう、鈴木先生は強く私に言ったのだ。
私は、そのことを思い出しタカシにこう言った。
「タカシ?そんな人は私知りません…」
「え?俺だよ、忘れたのか?」
決して忘れてなどいなかった。