第6章 6.影山の先輩
突然、キャーキャーと女子達の甲高い声が聞こえて及川は囲まれた。
「及川さーん!受け取ってくださーい!」
「及川さん!一緒に写真撮ってください!」
「及川くーん!」
一気に他校生に囲まれた及川は、女の子へ向けるスマイルに一瞬で切り替える。
その様子を眺めていた岩泉は
「あいつ…多重人格か…?」
と呟いた。
「なぁ国見、やっぱ顔が良いと影山みたいな奴でもモテんのかな」
「まず金田一はその頭…何でもない」
「?いーよなぁー!俺も彼女とアイス半分ことかしてみてぇー!」
潔子と影山は学区が違うため中学校は別々だが、潔子が出身の五条中と北川第一中はそんなに遠くないのだ。
近所のコンビニで買い食いをしていれば誰かが偶然目撃するのは当然である。
それがあの無愛想で独裁的な影山となれば話題になるのは必然だ。
青城の部員達は、烏野対常波の試合を観るために観覧席へ座った。
そして烏野は常波、伊達工に勝利し、明日は青城戦だ。
影山は青城の一回戦を見てから学校に戻るらしい。
潔子は帰宅して影山にメールを送り、明日の青城戦を観に行く準備をした。