第6章 6.影山の先輩
潔子が帰る前にトイレに寄ると、青城のユニフォームを来た1番の人、及川もトイレから出てきて潔子に近づいた。
「ねぇキミ…」
「?……!!!(及川さん…?)」
「飛雄の彼女ってホント?」
「(誰にも言ってないのに何で知ってるの?)え…と…どちら様ですか…?」
「あっごめ〜ん。俺は青葉城西のキャプテンやってる及川徹って言いま〜す。さっき飛雄のとこに勝った学校ね。で、烏野の子だよね?名前は何て言うの?」
「潔子です…」
何で私のことを知ってるのか聞きたいけど、余計な事言わずにさっさと帰るか迷う。
「潔子ちゃんね。飛雄と付き合ってるってホント?」
「……」
「ウチの子達が飛雄と一緒にいるの見たって言ってたんだよね〜」
「まぁ…はい…」
すごいグイグイ来る…笑顔だけどなんか怖い。
「飛雄に冷たくされたりしてない?大丈夫?エラそうな後輩は及川さんが注意してあげるよ?」
「っ!そんなことないです!素直で全然エラそうじゃないです!」
「ふーん。好きなんだね」
「(ハッ…!余計なことは言わないつもりが…!)」
「顔赤くなってるよ?」
及川が潔子の頬を人差し指でツンっと軽く突いた。
「しっ!失礼します!」
パタパタパタ…と及川から逃げるように駆けて行った。
「潔子ちゃん…かわいーじゃん。飛雄はどうやって落としたんだ…?ま、明日ウシワカちゃんにも勝って及川さんの方がすごくてカッコいいって証明してみせるけどね。」
「いた!オイ!及川おせーぞ!ウンコかよ!」
トイレに行ってなかなか戻って来ない及川を岩泉が見つけ、連行されて行ったのだった。
そしてその晩ー
潔子は影山に何てメールを送ればいいのか悩んでいた。
負けた時って何て声を掛ければいいんだろう。
しかも相手は飛雄くんの先輩。
今日飛雄くんの先輩と話したこと、言った方がいいのかな。
その時、携帯の着信音が鳴る。
飛雄くんからメール…!
"次は勝つ"
飛雄くんらしいな…
"次も見に行っていい?"
と返した。
及川さんと話したことは…会った時に話そうかな。隠し事とかしたくないし。
影山が素直だから自分も素直に全てを話すだけのはずが、思わぬ展開になるなんてこの時の潔子は知る由もなかった…