第6章 6.影山の先輩
インターハイ宮城県予選。
ついに6月2日がやってきた。
会場は地下鉄終点の富沢にある仙台市体育館。
潔子が彼氏の影山の試合を観に行くのは今回が初めてだ。
富沢駅の改札を出て左側へ向かう。
仙台市体育館へ行くのは中学校の全校生徒強制でやったバレーボール大会以来だ。
会場周りには応援に来ている他校生、保護者がいる。
烏野の子は…いないようだ。
潔子が会場に入ろうとしたところ、他校生からの視線を感じる。
「……?」
何…?白いジャージの人がこっちを見てくる気がする…?
知らない人だなぁ…
あ お ば
じょ う さ い
青城高?
北一の大半が青城に進むって聞いたことあるような。
飛雄くんと同中の子もいるのかな。
でも何でこんなに見られるんだろう…
そそくさと会場に入って端の席を選んだ。
潔子をジロジロと見ていたのは青城のバレーボール部だった。
「おい!クソ及川!」
「えっ?まだ何もしてないんだけど?!」
「顔の良いヤツは何で無条件でモテんだよクソが!じゃねぇ、聞いたかよ?」
「人をクソなんて言ってるから岩ちゃんは彼女ができないんじゃないの〜?あたっ!」
岩泉のケリをくらう及川。
「お前も影山も何でモテんだよ!!!」
「?何で飛雄?」
「一年が言ってたぞ!アレが影山の彼女だってよ!」
「飛雄の?」
蹴られた所を押さえながら及川がパッと振り向くと、整った顔立ちで襟付きのワンピースを着ているサラサラヘアの女子がいた。
飛雄に彼女?
あんな感じがタイプ?
同級生?
いつから?
近くで顔見てみたい
話しかけてみたい
頭の中を見透かされたように岩泉が続ける。
「秋山小の同級生らしいぞ。烏野に行ったらしい。」
「…ふーん…」
「絡みに行くんじゃねーぞ!」
「ギクッ…!」
「やっぱ絡みに行こうとしてたな!クソだな!ま、あの影山の彼女だからお前には靡かねーだろうけど、人のモンに手出すなよ!」