第5章 5.初・彼女の家
日曜日。
メールの受信音が鳴る。
影山から「部活終わった。今から行く。」とメールが来た。
盛り付けをしたら途中まで迎えに行こう。
一方、烏野高校バレー部の部室。
「おい影山!何かニヤニヤしてねぇ?お前最近ヘンだぞ?」
「うっせぇ!俺が笑ってて可笑しいかよ!」
「いやお前の笑顔は怖いから。それは笑顔じゃなくてニヤニヤだろ。つーか一人で笑ってんのも怖えー」
「日向ブットバス!!!いや、それどころじゃねーや。走って帰る!」
「…?やっぱ影山何かヘンだな?いつもならおれのことぶん投げるのに?ま、いーや。ノヤさーん!ガリガリくん食べにいきましょー!」
部室を後にした影山は走り出す。
ランニングの後、空腹時に胃袋へ入れるメシは格別なのを知っている。しかも料理上手な彼女が作るメシは何倍もうまい。
"あと5分くらいで着く"
影山からメールが届く。
潔子は、影山の事だから走ってくると読んで濡れタオルを片手に迎えに来た。
遠くから影山の姿が見え、大きく手を振る。
「飛雄くーーーーーーーん!」
「ハァ、ハァ、んな大きな声出すな、ハァ、ハァ、恥ずかしいだろ」
なんて言いつつ自分を見て嬉しそうな顔をする彼女に心が温まる。
「飛雄くん絶対走ってくると思ったよ」
彼の胸に顔を寄せる。
「バッ…!汗かいてっから…!汗くせぇだろ!一応替えのシャツは持ってっから家着いたら着替えっけど」
「ううん、いいの!」
「…?」
「飛雄くんの匂い…嫌じゃないよ…」
「なっ…!」
おい…
危ねぇ
外じゃなきゃ今すぐ抱いてたぞ
「でも風邪引くからこれで拭いて!はい!」
濡れタオルを差し出す潔子。
「おう…あざす」
軽く顔を拭いて潔子の家へ向かう。