第3章 3.初体験
昼食を食べ終え、片付けまで済ませると二人の間に何とも言えない空気が流れる。
先に口を開いたのは影山だった。
「…っと、…俺の部屋…行くか…」
「うん」
家に男女二人きり
影山の部屋
親がいない
これは…
そういう流れだよね?
そういう流れだよな?
いやいや
つい最近再会したばかりで?
部屋が近づくにつれ鼓動が早くなる二人。
初めて入る飛雄くんの部屋は、綺麗に片付けてあり、というかバレー以外に興味がないので余計な物がなかった。
男の子の部屋…初めて…
「適当に座って」
「え…と…ここでいいかな」
ベッドと床とソファーで迷ったが、ベッドやソファーなんて座ったら期待してるみたいで恥ずかしいから床にした。
影山は内心焦っていた。
やべぇ…とりあえず俺の部屋に来ちまったけど
こんなのアレの流れじゃねーか!
いくら昔から好きとはいえ久しぶりに会った女と早速ヤるか普通!引かれるだろ!
ん?普通はどれくらいでヤるんだ?三ヶ月?わかんねェ!
なんて考えながら潔子の隣に腰を落とす。
「付き合うってよ……何すんだ?」
「え?」
「いや…俺女と付き合うとか初めてでわかんねェ。」
「うーん…。私も男の子と付き合うの初めてだからわかんないな…デートとか?」
「デート…」
デートってどこ行けばいいんだ?
今はデートじゃねぇのか?
口に手を当てて真剣に考え始める影山。
本人は真剣なのだが、その様子が可笑しくて。
「ふふっ…あはははは!」
「!?」
「飛雄くんのそういうところほんと好き!」
「っ?!俺はっマジでわかんねぇから真面目に考えてんだ!」
影山が潔子の左手を右手で握る。
飛雄くんの手は、私より大きいけど綺麗ですべすべしてる。