第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
人通りの少ない歩道を一人ぼっちで歩きながら、は色違いのタイルを見つめていた。
笑顔で母親と並んで帰路につく子供が見えた。
小学生くらいだろうか。
長い髪の毛を降ろし可愛らしいワンピースを揺らしながら、の横を通りすぎる。
ふわりと香る、甘い臭い。
見ないように視線をそらしてしまったこと自体に、自嘲の笑みが漏れた。
少女から香る匂いに、鼻の奥がツンとした。
酷い臭いと、五条からそう言われることも初めてではない。
だからいつも、東京校に来る前は身体を洗うように心掛けてはいた。
お前との子供なんていらない。
そう言われることも初めてではない。
それでも今日は、も予想していなかったことをされた。
初めから、いつもより機嫌の悪い彼の様子に、きちんと注意を払っておくべきだった。
それか、手ひどく扱われることを覚悟をして相手をするべきだったか。
そうであったら、あんな無様な姿を彼の前で曝すこともなかったかもしれない。