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【雑多】be there【短編集】

第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】






どのくらい長い間、そうしていたのか。

「で、悟。に何をしたんだ?」

焦れたように問われ、沈み込んでいた意識が浮上する。

「いつもなら声をかけてから帰るのに、何も言わないで帰って行ってしまったよ。声をかけても無視するんだ」

窓の外から見えた小さな影に違和感を覚えた夏油。
小さい体がさらに小さく見えた。
それになぜか制服の襟を立ててたよ。

そう言う夏油の言葉に五条は顔を上げた。

襟を立てていた。
そういえば、この部屋から出ていく時には襟を立てていた。
普通はそんなことはしない。
それは、その理由は。

「五条、オマエ」

黙り込んだまま唇を噛み締めた五条に、目の色を変えたのは家入だった。
その固い声色の意図を理解して、五条はゆるゆるとかぶりをふった。

「手は、あげてねえ」

そう。
手をあげたわけではない。
しかし、それよりもさらに酷いことをずっとしてきた。
ほっと、僅かながら肩を撫で下ろした友人に、心が軋む。
たった一年、されど一年。
俺はあいつを。
しかも、―――しかも今日は。

「じゃあ何を」
「髪……を」
「髪?」

思いがけない言葉に困惑する夏油たちに向かって、吐き出すように声を絞りだした。

「燃やして、切った」

一瞬の沈黙。
生唾を飲み込んだのは、きっと家入だ。

「……切ってほしいと、頼まれたのか?」

それでも冷静の家入の声色にも、固さが滲む。

「いや」



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