第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
そうか、俺は。
「あいつが、が、好きなのか……」
の笑顔が、脳裏に浮かんだ。
それが自分に向けられたものだと思うと、こんなにも胸が締め付けられるような、泣きたくなるような幸福感に包まれる。
そうか、そうだったのか。
脳裏のの微笑みが、泣き顔に変わる。
耐えきれずに零れ落ちた少女の一瞬の嗚咽が耳なりとなって、五条の鼓膜にじわりと突き刺さる。
俺はこんなにも。
あいつことが。
「好きだ」
認めてしまえばすとんと胸に落ちた。
自尊心も何もかも、全てを奪い去りたい。
完膚無きまでに叩き潰して苦しめてしまいたいと思うほど。
思ってしまうほど。
好きだなんて言葉では言い足りないぐらい、狂おしい程に。
「俺は、あいつが、のことが―――好きなんだ」
強張っていた身体が、一気に脱力した。
一度口に出してしまえば、途端に湧き上がる、彼女を想う気持ち。
誰かに向けられた笑顔も、声も、大きな瞳も、艶めく髪も、全てが。
輝いて見える。
愛おしいと、五感の全てが悲痛な叫び声を上げた。