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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】






無関心以外の全て。
好きの反対は無関心だという。
嫌よ嫌よも好きのうち、そんな慣用句もある。
それはつまり、全てのベクトルが馨に向いているということで。
苛立ちも、執着も、憎しみも、愛情も、全て。

―――ああ、そうか。

一気に、視界が開けた。
に酷い言葉を投げ続けてきたのは、にこちらを見てほしかったからで。
に肉体関係を強制したのも、性欲を満たすためでもなんでもない。
ただ純粋に、あいつを、に触れたかった、抱きたかった。
女性との縁が切れたのは、以外に興味がいかなかったから。
苦しむ彼女をみて楽しいと思っていたのは、自分が与える苦痛に反応する彼女が嬉しかったからだ。
この瞬間だけは、他の誰でもなく、親友でも後輩でもなく、五条だけをその小さな体で感じてくれる、見てくれる。
憎しみでも、恐怖でも、怒りでもなんでもいい。
に自分を忘れないでいて欲しかったのだ。
の記憶から抹消されることなく、死ぬまでの中で生き続けたかった。
の濁った瞳で見つめられるたび、その瞳が傷ついて揺れるたび、怯えに歪むたび。
感じていた高揚感は。
これは、ほかでもない。
想いを募らせた相手を、自分の物にできたという優越感だ。




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