第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
次々と追いたてられる言葉に、今までの常識が覆されていく。
それでも、夏油の言葉をそのまま鵜呑みにすることはできなかった。
好き、つまり恋、愛情。
そんなもの、腐る程してきた。
五条は女性にモテる。
日本人離れした容姿に身長。
いやでも目立ち言い寄ってくる女性は数知れず。
その場限りの関係など100は超えた。
しかし、と知り合ってからは何故だか誰かと付き合うという行為に関心がいかなくなって、ここ数年は誰かと関係をもったりはしていない。
それでも誰かとお付き合いをする際には、相手の女性を優しく、慈しむように扱ったものだ。
を前にした時のように、虫唾が走ったり、イラだったり、ましてや壊してしまいたいなどという物騒な感情に苛まれることはなかった。
ここまで誰かに感情的になってしまうことも初めてだった。
だから、は五条にとって、「死ぬほどに大嫌い」な相手だと思っていたのだ。
それが、好きだって?
ぐるぐると思考の渦に飲まれそうになった時、静かに傍に控えていた家入が、口を開いた。
「五条」
静かだが、いつも以上に鋭い目つきの彼女の視線を受け止める。
「それが証拠だよ」
「証拠?」
「五条はを見ると、腹が立ったり、目が逸らせなくなったり、胸が苦しくなったりするんだよな?」
「まぁ……」
そういえば彼女は、のことをいつも妹のように可愛がっていた。
「だから俺は、あいつが死ぬほど嫌いで」
「逆だよ」
「は……?」
「五条はが死ぬほど嫌いなんじゃなくて、死ぬほど好き、なんじゃないのか?」
目を剥く。
タバコを吸っている友人は、窓の外に煙を吐き出し五条をしっかり見据えた。
「五条にとっては、無関心以外の全て、なんだろ?」
「嫌よ嫌よも、って言葉もあるしな」
2人のその言葉に。
五条は今度こそ言葉を失った。