第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「あいつが笑うと、いつも腹が立つんだけど」
「が自分に笑いかけてくれないからイライラするんだろ、好きだから」
「あ、あいつの声を聞くだけで、動機が収まらなくなんだけど」
「声聞くだけでドキドキしちゃうんだろ、好きだから」
「他のやつばっか見て話したりすると癇に障るんだけど」
「に自分だけを見て欲しいんだろ、好きだから」
「……あのうざったい長い髪が、いつも視界にちらついて、目障りなんだけど」
「綺麗だからな、の髪は。悟は特についつい目で追っちゃうんだろ、好きでたまらないから」
「……あの、生意気な目が……」
「まだ言うか」
はあ、と大きなため息をついた夏油が天井を見上げた。
五条はそんな親友に視線を移すこともできずに、自分の思考が泥の中にはまってゆく感覚に呆然と床を見つめた。
木造の床に、高専の制服に身を包んだ少女の姿が浮かびだす。
背を向け、黒髪をたなびかせるの姿が。
「なんの、冗談だよ」
俺がをだなんて。
震える吐息は今度は失笑ではない。
動揺のためだ。