第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「に何をしたんだい?」
稽古場を後にし重たい足取りで廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
どうやら無意識に教室の方へと歩を進めていたらしい。
振り向くと、そこには親友の姿があった。
「、泣いていたけど」
鋭い視線で五条を睨みつける夏油と、咥え煙草をし煙を燻らせる家入に詰め寄られたところで、五条はやっと放心状態から解放された。
「……」
何も言わない五条のらしからぬ様子に、二人も顔を見合わせた。
五条は未だに混乱する頭のまま、教室に入りどっと椅子に座り込む。
五条は犯している時から暫く立ち尽くしていたため、どうやら脚が疲れていたらしい。
圧し掛かってくる謎の重さに、五条は俯いた。
「あのねえ」
先に呆れたように溜息をついたのは、夏油だ。
「何したのか知らないが、いい加減にしたらどうだい」
いつもなら、「うるせえ」とはねのけるのに、そんな軽口さえ出てこない。
「いつまでこんなこと続けるつもりだ、好きな子いじめはみっともないよ」
しょうがないと言いたげな口調に、昨日の出来事を思い出す。
そういえばこの時も、傑は笑って何かを言いかけ―――ん?
「は?」
今、俺の耳がおかしくなければ、妙な言葉が聞こえてきたような。
確か。
「―――好き?」
怪訝な顔をして顔を上げれば、予想通り呆れ返った傑の顔があった。