第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「そういやオマエ、次の生理いつ?」
今起こした出来事をまるでなかったかのように、話題から反らすように、身なりを整える。
「妊娠されたら困るから、あとでちゃんとピル飲んどけよ」
そう言いながらもとの子供ができたらどうなるんだろう、と考えた。
彼女と同じ黒い髪の毛で黒い瞳をした、花のように可愛らしい子供が、瞼の裏に浮かぶ。
―――かわいらしい?
頭の中を過った妙な言葉に、五条はすぐさま首を振って追い払った。
視界の片隅に、俺を見るの姿が映る。
短くなってしまった黒髪も。
「オマエ、と俺のガキなんて想像したくもねえから、堕ろされたく、なかっ……たら―――」
言葉が濁り失った。
ぽたり、ぽたり。
の頬を伝う、透明なそれが視界に入ったから。
「は?」
なんとも間抜けな声は、俺の口から漏れ出た。
ぼたぼたと断続的に大量の涙を流し、畳を濡らしていく。
呆けたように静かにただ涙を流すばかりのがそこにいた。
五条を見ているようで見ていない瞳は涙で揺れている。
小さく開いてしまった口を戻すこともできずに、五条はを―――正確に言えば彼女の流す涙を見つめていた。
彼女の涙など、性行為以外で見たことが無かった。
セックスをしている時は生理的な涙を流すことは何度かあった。
だが、それ以外。
そうでないとき、彼女はどんなに罵られても貶されても口を一文字に結んでそれに耐えていた。
だが今はどうだ。