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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】






「え……」

突っ伏したの頭に、黒い服に、五条の非道な所業から逃れた少量のそれらがはらりと散らばる。
焦げ臭い匂いが鼻の奥をかすめた。
錆びついた機械のように馨が振り向いた。
さらり、と。
肩に届かないほどに短くなったざっくばらんに燃やされ切られた自分の髪の毛を視界に入れ、今まで以上に大きく見開かれた、瞳。
まさに呆然。

「長いと戦闘に不利だろ」

不思議と静かな声が出た。
しかし五条は僅かながら動揺していた。
気が付いた時には手にライターを持ち、彼女の髪の毛を燃やしそして引きちぎっていた。
性格が悪くクズだと自負していたが、まさか自分がここまでするような人間だとは思わなかった。
ここまでするつもりは毛頭なかった。
それでもやってしまったものはしょうがない。
いつものように、冷えるような言葉を投げた。

「気色悪い長い髪よりは動きやすくなっていいんじゃね?そっちのほうが似合ってるよ」

すらすらと思ってもいない言葉が吐き出されるが、それはいつもの自分と変わらない。

たかが女の、の髪の毛を燃やしたくらいで動揺するとか、俺らしくねえ。
だってずっとこいつの長い髪が鬱陶しいって思ってたじゃねえか。

自分に対する言い訳を述べながら、五条は内心の動揺を必死に隠す。
手に残った髪ゴムを術式でくしゃりと握りつぶし、ゴミ箱へと投げ捨てた。
音もたてずに、髪ゴムはゴミ箱へと吸い込まれていく。





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