第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
首筋に浮かぶ汗を長い舌で舐めとり、そのまま吸い上げようとした時。
五条の鼻をいい香りが掠めた。
の髪の毛からだ。
汗をかいているにも関わらず、太陽のような春を知らせる花のような、そんな自然の匂いが彼女の髪の毛から漂ってきた。
香水とは違う、心地よい、香り。
「ひっでえ匂い。オマエ、ちゃんとシャワー浴びてんのか。臭すぎ」
それでも思っていることと真逆の事を言ってしまうのが、培ってきたに対する暴言。
「終わったら高専のシャワー浴びろよ。そんな匂いで外うろつかれたら迷惑だろ」
年頃の一般的な女子高生とは違い、呪霊を相手に廃墟や奥深い森の中に任務に行くこともあれば、そこで怪我を負って帰ってくることもある。
生傷の絶えない現場なため、白く透き通る肌には癒えない傷の跡がいくつもある。
年頃の女子にとって、一生残る傷は勲章どころかコンプレックスだ。
それを理解している五条は気味悪がるように言ってやった。
そうすると面白いほどに、の身体が硬直すると熟知している。
顔を見なくてもわかった。
今頃、は恥辱と屈辱に耐えて、泣きだしたい衝動を必死ん抑えているのだろうと。