第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
一向に動きを見せないに腹が立ち、俺は瞬時に間合いを詰めその足を払いのける。
バランスを崩したの腕を取り、そのまま畳の上に投げうち、無防備な背中に腰を下ろした。
「うっ……」
「こんなに弱かったっけ。いつも遊んでっから鈍ったんじゃねえの?」
畳の上にこすりつけられる頬が痛むのか、それとも俺の体重に押しつぶされているから苦しいのか。
歪む顔で俺を睨むの顔面は蒼白だ。
壮観。
その言葉に尽きた。
「先輩は……っ」
息苦しさに耐え。唸るような声が耳の奥にこびりつく。
心地がいい。
の声は気に食わない。
が、痛みや苦しみに耐える暗く淀んだ声は興奮する。
今、コイツを傷付けているのは、コイツの頭の中を占めているのは、傑でも硝子でも七海でも灰原でもあの男でもない。
まごう事なき、俺だ。
高揚感を隠すことなく笑えば、の顔は面白いほど固くなった。
「先輩は、私が嫌いなんですよね……」
「そうだけど?」
特別否定することもない。
悠然とした態度で口角を吊り上げたまま笑った。
「じゃあ、なんで」
「嫌いだからだよ」
そうだ。
嫌いだ。
心の底からを嫌っているから。
「オマエはさ、性欲処理に持ってこいの人間なんだわ」
俺くらい有名な人間だと女遊びも碌にできねえし、そう言いながらの背中から腰を上げ、仰向けに身体を転がした。
歪んだ顔が五条を見つめている。
ああ、その顔。
俺しか視界に入れていない、淀みきった真っ黒い色。
大嫌いな人間をいたぶることがこんなにも楽しく心躍るものだなんて、と出会うまでは知らなかったし知ろうとも思わなかった。
「脱げ。使うのは下だけだから上はいらねえ。脱いだらうつ伏せになれ」
床に寝転がる少女は怯えながらぎゅっと唇を嚙みしめた。
何度か口を震わせ躊躇したあと。
意を決したように起き上がり、震える指先でゆっくりとスカートのファスナーに手をかけた。