第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「確かに遊びに来てはいたけど、稽古の口実とかじゃなくて……」
五条が言い淀んだのを嫌味と取ったらしいは早口に捲し立てた。
どうやら五条の先ほどの言葉を気にしているらしかった。
彼女は自分が弱いと自負しているが、自負しているからこそ「弱い」という言葉を嫌う。
それを知っているからこそ、五条はわざとそう言ったのだ。
「あれは、中学の時の同級生で、東京に引っ越ししたって聞いてて、昨日たまたま再会しただけで……」
「………」
「別に、あの後は何もなかったし……」
怒りのためか、悲しくなったのか。
微かに赤らむ顔に昨日のの微笑んだ顔が重なった。
俺の前では決して見せることのない表情。
まるで相手の男を庇っているような言動。
のその声に。
イライラする。
「その話、長えの?」
中学の同級生。
それにしてはやけに近い関係のように見えたけど。
少なくともあんな風に柔らかく笑うくらいには。