第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「お願いします」
稽古場所である部屋に行けば、少女は怯えたようなだけどどこか鋭い視線で睨みつける様に五条を見ていた。
昔から変わらない。
何も言わずに五条はポケットに手を突っ込んだまま、彼女を見やる。
腰を低くし、左足を一歩引いて、構える彼女の赤い唇から漏れる細い息遣い。
その唇から目が離せなくなる。
理由は分からないがそれが不快で、「戦闘中にぺちゃくちゃしゃべんのか。うるさいから極力喋んな」と言ってからは、は俺の前であまり口を開かなくなった。
「昨日」
構えたポーズから、は静かに口を開いた。
「なんで私が東京にいたって知ってたんですか」
珍しい、と思った。
さっきの理由から、五条の問いかけなしにの方から話を振ると言うのは滅多にないことだった。
「任務帰りの車ん中で、オマエが信号待ちしているのを見たんだよ。男と、一緒に」
なんてことのないように口にしたつもりが、"男"の部分で躓いた。
昨日の出来事が脳裏に蘇ったせいだ。