第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「暇人はいいな。呑気に遊んでられんだから。つうか、稽古つけて欲しいってただの遊ぶための口実だろ」
止まる事なく吐き出される言葉たち。
傑たちからの非難めいた視線をはねのけ、鼻で笑ってやればの瞳が傷ついたように揺れた。
その表情に、一瞬だが胸の奥にすっとした風が通った。
「悟」
「大丈夫です、夏油先輩。五条先輩の言う通りですから」
五条に盾ついて、夏油が非難を浴びるのを危惧してか、それとも特級術師2人の喧嘩によって周りの被害を考慮してか。
はすぐに小さく頭を下げた。
絹のように柔らかい髪が、さらりと彼女の肩にかかる。
「ごめんなさい。今度から気を付けます」
いつもそうだ。
五条がに冷たい言葉を投げつけるたび、彼女は周りの人間に気を遣う。
点数稼ぎだろうと最初こそ思っていた。
だが、それが違うと言うことに気が付くのに時間はいらない。
そんな彼女の態度が毎度癪に障る。
別に何をされたわけでもないのに。
どうしてここまでこんなに腹が立って仕方が無いのか。
五条自身、分かっていなかった。
「……ちょっと来い」
「えっ?」
「いいから来い」
のつむじから視線を反らし、五条はに着いて来るように促した。
「俺が稽古してやるよ」
それだけ言えばは下を向いてしまった。
心配そうにを見る家入を遮り、彼女を稽古部屋へと追いやった。