第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
「こんにちはー」
はつらつとした声で、教室に入ってきた女。
時刻はもうすぐ夕方のなろうとしている時間帯。
揺れるポニーテールを見つめた。
「じゃん、遊びに来てたのか?」
「はい。東京限定のコスメを買いに。あとは、また稽古してほしいなぁって思って」
照れくさそうに笑って頬を掻くに、さっきまで気だるげそうに携帯を見ていた硝子は椅子から立ち上がってに抱き着いた。
傑もうさん臭い笑顔を張り付けて、どっから聞きつけたのか七海や灰原、伊地知までもが教室の中に入ってきた。
七海に至ってはいつも仏頂面してるくせに、が来るとその仏頂面が崩れて笑顔なんか見せちゃってるし。
面白くない。
「この前話してた定食屋の場所、見つけたから今度一緒に行こうよ!!」
「え⁉行きたいです!!」
「七海と行ってきたんだけど、そこのから揚げ定食がすごくうまい!!」
灰原と飯の話をするは口の端から涎が垂れそうになって、慌てて手の甲で拭った。
目まで輝かせて、無邪気な笑顔に苛立ちが募る。
入り口で和気藹々と楽しむ輪から、俺は大きく外れている。
他の奴等にはああやって笑顔を振りまいて話をするくせに、俺には何一つ声を掛けてこない。
普通、声かけんだろ。
一言もねえとかどんだけ常識外れだよ。