第4章 【五条悟】嫌よ嫌よも。【R18】
ただ。
プライベートで東京に来て、時間があるからと言って体術の訓練を頼む相手が俺じゃなくいつも傑や七海なのが気に食わない。
俺も特級呪術師でなんなら最強なんですけど。
なんで俺に見向きもしないくせに、傑のほうに視線を注ぐんだよ。
あまつさえ、歌姫に訓練を頼んだって意味ねえだろ。
それで強くなってるって、成長してるって錯覚して自己満足したいだけじゃねえのか。
気持ちわりぃ。
それでもそんなアイツの姿を周りはおだてやがる。
俺から見たら、馬鹿げた茶番、滑稽で哀れだ。
正直に素直に言えばいいんだよ。
「オマエは呪術師に向いてないから、やめちまえ」って。
才能の世界に、みたいな甘っちょろい人間はすぐに死ぬ。
呪術界を回す歯車になりたいだけならそれでいいんじゃね、と思うが、そう思えば思うほど面白くない。
鬱陶しい。
あの長くて黒い髪の毛も、耳にこびりつく笑い声も何もかもが。
あいつが振り返るたびに翻るポニーテールが、見たくも何の目の端っこに入ってきて、気付いたら追いかけていて、目障りだ。