第27章 【石神千空】Love is blind.
「こんなこと聞くのも気が引けるが、確認したいことがある。、てめー、ストーカー被害に遭ってるか?」
「……っ!!」
唐突なことを聞かれ、は身体を硬直させた。
心臓が大きく跳ねて、身体に流れる血が急激に冷えていく。
嫌な汗が背中を伝う。
生唾を飲み込んで「なんで?」とできるだけ何事もないように振る舞うが、精一杯の虚勢だということを千空は気づいている。
「スマホ、すげえ鳴ってたから」
「………えっと、それはほら、あれだよ。あの、配達業者!!から、の電話……」
「昨日の夜からずっとか?」
「な、んでそれ……」
「………悪い、少し見ちまった」
バツが悪そうに謝る千空には慌てて「ちがう、せめてるわけじゃ……」と声を荒らげた。
そして、少し話しづらそうに、だけど知られてしまったからには言わなきゃいけない、は静かにストーカー被害に遭っていることを話した。
非通知の電話だけで家まではバレていないということも。
「ゲンくんや羽京くんには内緒にしてほしい。心配かけたくない」
「だろうなと思って、聞いたんだ。暇かって」
千空は口角をあげて笑った。
なんでそんなに嬉しそうなんだろうという疑問はあったが、はゆっくりと頷いた。
「じゃあ早くメシ食って行くぞ」
「ちょ、ちょっと待って!!」
「なんだよ、さっきから」
「出かける前にお風呂貸して。あと服も。流石に、酒臭すぎる」
「…………パンツもか?」
「それはいらない!!」