第27章 【石神千空】Love is blind.
あの後、は千空がいつも実験をしている研究所へと向かった。
分館に当たる場所から更に進んだ場所に立派な建物が見えて来た。
ずっと業者的ななにかの会社だと思っていたに「大学の敷地内に会社が立つかよ」と一蹴された。
中に入ると、一般人には絶対わからないようなたくさんの機械やらなんやらが置いてあった。
全てが新鮮でワクワクする気持ちよりも、少しでも触ったりなどして壊したらという不安の方が大きかった。
できるだけ触らないように身体を小さくし、千空の後ろを歩く。
奥へ歩を進めると、そこには兄弟な"何か"があった。
見たこともない複雑な形をしたそれに圧倒されてしまう。
ぽかんと口を開け「なにこれ……」と自然と漏れてしまった言葉に千空は、なんでもないようにさらっと「タイムマシン」とだけ答えた。
「タイム、マシン……!?」
「あ゙ー、ちょっと待ってろ」
髪の毛を乱暴に掻き、千空はモニターの電源を付けた。
モニターの向こうに映った男と何やら英語で数分言葉を交わすと千空をはただじっと見つめる事しかできない。
何をしゃべっているんだろう。
何一つ聞き取れない英単語にこの場にいるのは間違いなのではないかと思い始めた時だった。
千空に呼ばれ、更に奥の部屋へと通される。
居心地の悪さを感じながらも従うことしかできないため、着いていくと、そこの部屋は薬品やら実験道具やらが並ぶ小さな部屋だった。
「そこに座って待ってろ。今の時間なら誰も来ねえ」
そう言われたところで居心地の悪さは変わらないが、は少し硬いソファに腰かけた。
真剣な表情で何かを作っている千空の背中を黙って見つめること数十分。