第27章 【石神千空】Love is blind.
まさか彼の家に連れて込まれているとは思わなかったは魚のように口をパクパクとさせる。
それを知ってか知らずか千空は「安心しろ。手ェ出しちゃいねえよ」と言い、「メシ食うか?」とリビングの方へと消えて行った。
メシ。
その2文字を聞いたの腹はまるで返事をするように小さく鳴いた。
リビングへと行くと、テーブルにはパン2切と少し焦げている形の崩れた目玉焼きが置いてあった。
「これ、石神くんが作ったの?」
「千空でいい。普段作らねえから味は保証しないがな」
普段はコンビニか外食が多いが、今日はがいるから買ってくるのも気が引け、久しぶりにキッチンに立ったと千空は言った。
「迷惑をかけたうえに朝ごはんまで……。ごめんね、ありがとう」
「朝だと勘違いしてるところ悪いが、今はもう昼だ」
「え⁉」
テーブルに置かれているデジタル時計に目を向けると時刻は11時42分を知らせていた。
朝から講義があったの顔面は真っ青に染まる。
今から行っても2限はあと30分で終わる。
がくっと項垂れるだったが、「いやまだ2回あるからセーフ……」と呪言のように何度も呟いた。
そんな彼女を見つめ、千空は静かに口を開いた。
「この後、暇か?」
「私の今日の予定は全て終了しました」
「講義午前だったのかよ」
それはご愁傷様、と笑った千空だったがそれは一瞬のこと。
再び真面目な顔をすると、テレビの脇に置いてある彼女のスマホに目を向けた。