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【雑多】be there【短編集】

第27章 【石神千空】Love is blind.






その後、ゲンが「千空ちゃんには俺から場所送るよ~」とその場をなんとか丸く収めていた。

「悪ぃな、ゲン」
「いいよいいよ、それよりちゃんのことお願いね」
「千空のことだから大丈夫だと思うけど、手を出しちゃだめだよ」
「出さねえよ」
「てか、ちゃんの家知ってるの?忘れてたけど」
「自分の家くらいわかんだろ」
「「え?」」

千空の言葉に二人は目を見開き動きを止めた。
それは一体どういう意味だろう。
まさか、知らないうちに彼らは付き合っていて同棲していたとか。
いやいや、昼間の様子を見る限りそんな雰囲気は一切感じなかったけど。
いろんな思考が脳内を駆け巡ったが、「いやだから、こいつに聞けばわかんだろ」としれっとする千空にゲンと羽京はほっと胸を撫でおろした。

「送ってる間に酔いくらい冷めんだろ。そしたら聞き出すだけだわ」
「そゆことね。言い方が言い方だったから、勘違いしちゃうとこだった」

あはは、と声を出して笑うゲンに千空は何か考えるように目を少し動かしすやすや眠るを一瞬見ると「それはそれでいいかもな」と小さく零した。
その声はとても小さく、賑やかな繁華街では掻き消されてしまいゲンや周りの人たちには聞こえなかったが、耳のいい羽京だけにはしっかり聞こえていたらしい。

「千空……?」

意図を聞こうと恐る恐る尋ねる羽京に対し、千空は口を歪ませ人差し指を立て「静かに」と彼にジェスチャーを送った。
その仕草に「本気なの?」と疑問に思うと同時に、聞いてはいけないような気がして、羽京はその言葉を静かに飲み込んだ。




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