第27章 【石神千空】Love is blind.
楽しい時間というものはやはりあっという間に過ぎるもので、同時に楽しい場であればあるほどアルコールの摂取量も多くなるもので、要するに率直に単純に言ってしまえば、はベロベロに酔っぱらっていた。
「ちゃん、飲みすぎ~」
「珍しいね、こんなに酔っぱらうまで飲むなんて」
一軍女子の群れから抜け出してきたゲンと羽京は、千空と楽しそうに話す彼女の姿を物珍しい目で見ていた。
二人はお酒を店員に頼むついでに、酔っぱらってる彼女のために水も追加で注文した。
その間、彼女はふにゃふにゃと笑っては隣の千空に甘えるように「眠い」「飲みたい」「お腹空いた」と繰り返すばかりだ。
「こいつって酔うといつもこうなのか?」
「ん~、いつもはセーブしてるみたいなんだよねぇ。それに、俺もこんなに甘えてるちゃん見るの初めてだよ」
「それくらい楽しかったってことだよね。なんの話してたんだい?」
「失敗した実験諸々」
「それは僕も聞きたいかも」
「………いつも近くで見てる奴が何言ってやがんだ、羽京テメー」
呆れたような表情でそう言う千空は、いつの間にか自分の肩に寄りかかってすやすやと眠るに気が付く。
周りも帰る準備する人が何人かちらほら見え、飲み会はここでお開きとなった。