第26章 【呪術廻戦】DOOR【3】
「マッドサイエンティスト。闇で人体実験ばかりしている、そんなイメージしか持ち合わせていないんです」
「では、なぜあなたは科学者を?」
硝子のその質問に。
五条は唇を結んだ。
科学の発展はもうないと世間から見放されてしまった。
それでも自分が科学者でいるのは。
「科学者は常に次の時代の発展を想定しています。つまり自分が予言者となり、その予言を自ら実行するんです」
100年前の五条の祖父は50年後を想定し、そして50年後、科学はその通りの発展をした。
「今度は僕の番だ」
自分に言い聞かせるように。
五条はそう言葉に力を乗せる。
しかし硝子はそれをバッサリを切り捨てた。
「だが、その時から50年。科学は未だに闇の時代だ。科学の発展が終わってしまった現在、人々はみんな快適な生活を送っている。……科学は既に存在自体、不必要なものじゃないのかな」
「僕は今でも信じている!科学に、科学者に限界なんてない」
「ほぉ……何を根拠に」
「根拠なんてありません。ただ、鍵が必要なんです」
「鍵?」
新たな存在が生まれるためには、存在していない何かの存在が必要だと、五条は言った。
余りにも抽象的なそれに硝子は眉間に皺を寄せた。