• テキストサイズ

【雑多】be there【短編集】

第26章 【呪術廻戦】DOOR【3】







「素晴らしい言葉だね。これは?」
「1950年、私と同じ科学者だった祖父が学会で発表したものです」
「1950……。今から100年も前ですか」
「予言、とでも言うのでしょうか。20世紀後半の科学の発展を述べた文章です」

どこか誇らし気な表情の男はノートを大事そうに手にすると、それを自身の机の引き出しの中に閉まった。
大きな背中を横目で見ながら白衣の女性は、再び煙草に火をつけた。
ライターの音を聴きながら、男は女性に尋ねる。

「家入先生は、ノストラダムスという人物をご存じですか」
「いや……」
「50年前までは誰もが知る予言者でした。フランスの医師であり、先生学者でもあった彼は1999年、世界が滅ぶと述べたんです」
「世界が滅ぶ?そんなこと当時の人間は信じたんですか?」

半ば笑いながら女性―――家入硝子は煙草の煙を肺の中へと入れた。
そう言う反応をするだろうと思っていた男―――五条悟もまた、その顔に笑みを張り付け再びソファへと腰を掛けた。

「半信半疑、と言ったところでしょうかね。予言なんてものは的中して初めてその真価が問われる。しかし、ノストラダムスの場合は、予言した1999年が近づくにつれその信頼度は上がっていきました。その理由は―――」
「当時の人間が、本当に世界を滅ぼせる力を持っていたから」
「そうです」

静かに五条は頷いた。
深く吸った煙草の煙を口から吐き出す硝子は、煙草の火を消し、まっすぐに五条を見据える。




/ 564ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp