第26章 【呪術廻戦】DOOR【3】
「今日の夢はどんなでしたか?」
と、ポニーテールの女性がそう聞いた。
自分達以外誰もいなくなった部屋で。
彼等は今日もまた夢の話を続ける。
「夢と言うのは不思議なものですね」
「え?」
オレンジ頭の女性が静かにそう呟いた。
「夢と言うのは、実は頭の片隅に描いていたことが表れます」
「ええ」
「現在とは状況の違うもう一人の自分を夢に見ることがありますね」
ピンク頭の男の言葉に、4人は頷いた。
「あれは、あの時別の道を選択していたら、自分はこうなっていたかもしれないという意識だったんです。分岐点を超えた時、こうしていればという後悔の念が将来の自分を予測して、夢に現れるんだと思います」
ただ静かに。
ピンク頭の男性の言葉に耳を傾ける。
誰も何も言わなかった。
言わなかったけど、彼の言葉をなんとなく理解していた。
静寂が流れる中。
団子頭の男性が静かに「部屋に戻りませんか」と言った。
今日の会話は終わった。
だから、部屋に戻る。
そういうルーティン。
立ち上がる4人。
しかし、白髪の男性だけが椅子に座ったまま静かに彼らに声をかけた。
「今日はもう少し、ここにいませんか」
ブルートパーズの瞳が、彼らを見る。
その瞳は以前とは違い、どこか生気を感じられた。
だが、そのことに気づく者は一人もいない。
まっすぐに。
4人を見つめる白髪の男性は、静かに口を開いた。
「私の……僕の話しを聞いていください」
同時に。
場面は切り替わった。
まるでそこはどこかの研究所のような場所。
そこにいるのは白衣を着た白髪の男性だった。
彼の手には日記帳のようなものが開かれていて、静かに目を通している。