第25章 【虎杖悠仁】ときめき
その頃、虎杖はと言うと。
「運転手さん、あの……って五条先輩⁉」
「本日は高専タクシーをご利用くださりありがとうございます。お客さん、行き先は?」
「え……っと」
「行き先は?」
「品川駅にあるでかい病院まで……」
「OK~。飛ばしてやっから、しっかり捕まってな」
「うっす」
なぜ運転席に五条がいるのか全く分からなかったが、今は釘崎とパンダの事がある為深くは突っ込まない虎杖。
彼のこういうところが好かれる要因の一つだろう。
一方同じ頃、高専内の放送室ではと言うと。
「七海さん、準備の方は?」
「いつでも大丈夫です、伏黒君」
「電話します」
七海の準備ができたのを見計らい、伏黒は五条に電話をする。
「ブラックよりホワイト、ブラックよりホワイト」
「は~い、こちらホワイト」
「作戦その2、準備が整いました」
「了解、どうぞ〜」
電話を切り、伏黒は外で見張りをしている灰原と狗巻に親指を立てた。
二人も親指を立てて、にっと白い歯を見せる。
「じゃあ俺は急いで羽田空港に向かいます」
「しゃけ」
「あとで報告してね、伏黒君」
「もちろん」
伏黒もまた、急いで外へ行き、待機していた夏油の車に乗り込んだ。
「うまくいけばいいですけどね」
「うまくいくよ。でなきゃ、男じゃないだろ」
「そっすね」
アクセルを踏んで二人は目的地である羽田空港へと急いだ。