第25章 【虎杖悠仁】ときめき
風船のように膨らんだへの気持ちは、確実にしぼんでしまった。
しわくちゃになってもう二度と膨らむことはないであろう、風船に。
もう一度と、言う彼らに。
虎杖は固く拳を握って、
「愛してるって言えってか!!!」
一筋の涙を零した。
「あの状況で!!いなくなるあいつに!!」
息を荒らげて、虎杖は夏油や五条を睨みつける。
彼等もまた虎杖を冷たい目で見ていた。
言いたいことも言えない男に、好きな女を引き留める事もできずにただ言いわけだけを重ねるヘタレな男の言葉など、夏油達にとっては痛くも痒くも無い。
「……言って、どうなるってんだ」
そう吐き捨て、虎杖は屋上を出て行った。
残された3人は何も言うことなく、再び静寂が訪れた。
かと思いきや、夏油はスマホを取り出し。
「菜々子かい?そう、私だよ。話はさっき悠仁から聞いてね。うん、そう。お願いできるかい。日程がわかったら教えて。じゃあ、また」
「従妹に電話してたんすか?」
「うん。可愛い後輩のために、一肌脱ごうと思ってね。協力してくれるね。悟、恵」
「しょうがねえな!!俺も一肌脱ぐか!!」
「絶対楽しんでるでしょ、あんた。でも、俺も協力しますよ」
3人はにっと笑ってお互いにハイタッチを交わした。