第25章 【虎杖悠仁】ときめき
虎杖の話を聞いて3人は押し黙った。
がウィーンに留学するだなんてそんな話、夏油は何も聞かされていなかった。
「よかったのか、言わないで」
静寂に包まれた屋上で沈黙を破ったのは伏黒だった。
「言ったって、仕方ないだろ」
「お前の気持ちを伝えるために俺や五条先輩、夏油先輩もみんな力を貸したのに」
「もう、いいんだよ……」
力なくそう答える虎杖の胸倉を五条が掴んだ。
サングラスの奥から覗く瞳はひどく怒っている。
「あいつは待ってたと思うけど、お前の言葉を」
「俺がに言ってやれる言葉なんて、もう何もないんだよ……」
「悟、落ち着いて」
二人の間に割って入る夏油は、胸倉を掴む五条の手を解く。
ここで言い争っても何も解決はしない。
ただ―――……。
「言ってやる言葉がないって、本当にそう思っているのかい。悠仁?」
言いわけばかりを述べる虎杖に、夏油も五条も苛立っていた。
そういう言いわけをつらつら述べて、自分を守っているようにしか見えなかったから。