第25章 【虎杖悠仁】ときめき
が日本からいなくなる。
たったそれだけのことなのに、まるで世界が滅亡したかのように想えて仕方がない。
「本気……なのか?」
冗談だろ、嘘だと言ってくれ。そんな真面目な顔して、俺を騙そうとしているのか。
虎杖の心の中で消える音が、虎杖の心を苦しめる。
「……」
「私……小心者だから、実は一人で結論だすのに結構勇気いったんだ。誰にも相談しないで。菜々子にはちょっと相談に乗ってもらったけど」
菜々子は彼女の背中を押してくれた。
やりたいことがあるならやれ、と。
大好きな友達とのお別れは自分も辛いが相手も辛い。
それでも背中を押してくれた。
の夢が必ず叶うと信じて。
「すっごくすっごく悩んだの。なんかね、ふとした時とかちょっと甘い言葉かけてもらいたいなって期待しちゃったりとか」
たった一人で。
まだ16歳の少女が。
異国の地で夢を追う。
それがどれだけ怖いか、不安か。
外国に行ったことのない虎杖でも、その恐怖は計り知れないほどの大きさだ。
それがましてや旅行ではなく、夢のため。
ライバルも多いだろうし、くじけることだってある。
日本にいるときでさえそうなのだ。
外国に行ってしまえば、一体誰が彼女の不安や恐怖を拭ってやれると言うのか。