第25章 【虎杖悠仁】ときめき
話は昨日、家まで馨を送り届けたところまで戻る。
「あのさ、虎杖。話があるの」
服の裾を掴む彼女の真面目なトーンに、虎杖は期待してしまった。
彼女もまた自分と同じ気持ちなのではないかと。
「いや、あの、そういうことは、あのぅ……、男の方から……」
「あ、や、違うの……そうじゃなくて」
「まって、俺から言わせて。えっと、さん!!あっ、さん付けとかなんか恥ずかしいな。えっと、ちゃん、君、あー、違う!やっぱりがしっくりくる。えっと、!!」
だから焦った。
こういう告白は自分からしたいとずっと思っていた。
だから先に言われる前に言わなければ、と。
「虎杖」
しかしそれより先にが、口を開いた。
「ごめん、虎杖」
「え?」
「ごめんなさい、今まで黙ってて」
「何を?」
心臓が大きくなる。
これはどっちの意味で心臓が大きくなっているのか。
期待か不安か。
入り交じる両方の感情に、虎杖の喉はもはや砂漠並みに乾ききっている。