第25章 【虎杖悠仁】ときめき
次の日。
伏黒達は屋上でご飯を食べていた。
伏黒から今日の虎杖の様子を聞く五条と夏油は、「元気がなかった」という伏黒の言葉に驚きを隠せない。
誰がどう見たってお互いにお互いの事が好きなはずなのに、なぜ失敗に終わったのか。
考えても考えても理解ができずにいた、彼らの耳に屋上の扉が開く音が聞こえた。
やってきたのは憔悴しきった虎杖の姿。
その顔には生気はなく、今にもここから飛び降りて死んでしまいそうだ。
死ぬためにここに来たのではないかと一抹の不安が彼らの胸に宿る。
「ゆ、悠仁?」
流石の五条も目の前で死にそうな男をからかうことはできないらしく、肩でも外れたのかと言いたくなるほど下がっている肩を抱きしめ地面に座らせた。
いつも明るく元気で陽気な彼が今はその真逆のオーラを放っている。
「と何かあったのかい?」
夏油の言葉に、虎杖の両の目から涙が溢れんばかりに零れる。
それを見た五条がぼそりと「ナイアガラの滝」と言い、吹き出しそうになる衝動を抑え夏油は五条の頭をはたいた。
決して笑っていい場面ではない。
だばだばと涙を流しながら、それを拭う事もせず地面に倒れる。